梅棹忠夫の「知的生産の技術」を手がかりに,私のワークフローをまとめた記事です。
知的生産とは何か
梅棹忠夫の「知的生産の技術」(岩波新書, 1969)という本を読みました。長い間読みつがれてる本です。
この本では,「知的生産」についてこのような説明がされています。
p.9
ここで知的生産とよんでいるのは,人間の知的活動が,なにかあたらしい情報の生産にむけられているような場合である,とかんがえてよいだろう。
(中略)
つまり,かんたんにいえば,知的生産というのは,頭をはたらかせて,なにかあたらしいことがら―情報―を,ひとにわかるかたちで提出することなのだ,くらいにかんがえておけばよいだろう。
知的生産は聞き慣れない言葉かもしれませんが,普段私たちが普通に生活を送っているなかでもやっていることなのです。自分の考えをSNSに投稿する,人に話す,文章に書く。こういった行為も知的生産にあたるでしょう。
インプットがなければアウトプットは生まれない
知的生産は,「なにかあたらしいことがらをひとにわかるかたちで提出すること」でした。では,その「あたらしいことがら」はどこから生まれてくるのでしょうか。
あたらしいことがらは,自分の頭から生まれてきます。ただし,頭がクリアな状態になっていて,なおかつ,適切な材料が揃っているときに「あたらしいことがら」が生まれてきます。
ここで問題になるのは,私たちが置かれている環境です。私たちは洪水の中にいます。情報の洪水です。この洪水の中から自分に必要な情報を取捨選択しなければなりません。。
何もないところから良質なアウトプットはできません。日々触れている情報が発酵の作用を経て「あたらしいことがら」になるのです。
知的生産のワークフロー
ここからは,私が実践している「知的生産」のワークフローです(2025.12現在)。外から情報を,どのように整理し,アウトプットにつなげていくのか。
備忘録も兼ねて整理したいと思います。
1 情報を仕入れる
情報源はたくさんあります。本,Web記事,自分が実際に体験したこと,ぱっと多いついたアイデア,人から見聞きしたことなどです。
この段階では,自分に関連する(であろう)テーマのアンテナを高くしておくことです。
具体的には,
「メモ」「読書」「知的生産」「習慣化」「科学」のような,自分が興味のあるキーワードをいくつか意識しておき,そのワードが入っている情報にとりあえず触れてみるようにしています。
情報の質は玉石混交ですが,情報を敏感に拾うクセをつけておくとよいでしょう。
2 情報を保存する
これはアイデアの種になりそうだと思ったものは保存するようにしています。
媒体の種類によって,保存先を変えています。
| 媒体 | 保存先 |
|---|---|
| 本・Web記事・SNS | Obsidian |
| 自分自身の体験・思いつき | iPhoneメモ,ノート,カード |
本やWeb記事の情報はObsidianに集約するようにしています。テキストや画像,リンクを残しておくには,パソコンで管理したほうが楽です。一方で,もう少し自由度を高めに記録したいときもあります。例えば,図解しておいたようがいい,とか,手書きのほうが微妙なニュアンスを残しておける,とか,そういった場合です。
ちょっと長めの文章で残しておきたいときは,罫線付きのノート,サクッとメモだけ残しておきたいときはiPhoneのメモ,図を使いながら考えを整理したいときは,無地のノート,短めの文章で簡潔にまとめたいときは,情報カードにまとめるようにしています。整理の観点から言えば,保存先は1つにまとめるほうが合理的です。しかし,様々な形式に対応しているものがないのと,気分によって保存先を使い分けできるため,あえて1つに集約はしていません。
3 発酵する
保存した情報は,そのままでは使えません。元の文脈が強すぎて,「あたらしいことがら」に生まれ変わるには新しすぎるのです。そこで,「発酵」をさせます。アイデアを「発酵」させるという考えは,外山滋比古の「思考の整理学」(筑摩書房, 1986)に紹介されています。少し時間を置くことで,忘却の作用が働き,元の文脈とは違った意味で捉えることができたり,自分なりの解釈ができたりするのでしょう。
この「発酵」になぞらえて,情報を保存する場所(ObsidianやiPhoneメモ,ノートなど)をまとめて「樽」と呼ぶことにしています。
4 見返す
樽を放置しているだけでは,腐ってしまいます。たまに様子を見にいくことも必要です。
保存したアイデアは,ちょっとしたときに見返すようにしています。新しいアイデアを書く前に,以前書いたものを読む。こうしていると,今考えていること・置かれている状況と以前のメモが結びついて,ピンとくることがあります。
5 提出する
このようなステップを経て,ようやく「ひとにわかるかたちで提出する」ことができます。
最終的な成果物はこのブログ記事です。
他の人に見られることを意識して,文章の表現を考えながら書いています。(他の人に見られないことを前提とした文章も,それはそれで別の面白さがありますが)
ワークフローまとめ
これまでに紹介したもの,および,今回の記事には登場しなかったものを含めると以下のような図になります。
flowchart LR
A[本・Web記事・SNS]
B[自分自身の体験]
C[思いつき]
subgraph UserDatabase["樽で発酵"]
D[(Obsidian<br>iphoneメモ<br>ノート<br>カード)]
E[(Literature notes)]
end
F[Instagram投稿]
G[Notionブログ]
H[Permanent notes]
A-->E-->|本は必ず投稿|F
B-->D
C-->D
D-->H-->G
E-->H
図にある「Literature notes」や「Permanent notes」は 💎2025.1月ver. Obsidianの運用 で紹介していますので,ぜひご覧ください。